文章スキルの作り方

ライティングAIスキルの手順を「活用事例記事」に置き換えて|作成:おの(2026-09-06)

元になった実績:リベシティ会員向け告知文の「初稿スキル」「FBスキル」(2026-08-06〜09-05・約1か月で配布まで)

0. この資料の読み方

1. 作り始める前に決める3つのこと

スキル作りで一番の失敗は「作り方」から入ることです。先にこの3つを1行ずつ書いてください(大ちゃんさんの「スキルの育て方」の型)。

問いライティングスキルでの答え活用事例記事なら(例)
① 目的
最終的に何ができたら成功?
ライターが初稿を書く時間を減らし、責任者2人のチェック負荷を下げる取材の文字起こしから、編集者が「直せば出せる」初稿が出る
② 不満
今のどこが物足りない?
ChatGPTに依頼文を貼るだけ→精度50点。過去の判断が反映されないここを具体に。「この文字起こしにこう返してほしかったのに、返ってきたのはこれ」の実例で
③ 情報
それを埋める情報は誰が持っている?
責任者2人の頭の中+過去150件の原稿の修正履歴編集責任者の頭の中+過去記事の初稿→公開稿の差分+取材対象者からの修正
②は必ず実例で書いてください。「精度が低い」で止めると、何を集めればいいかが決まりません。

2. 全体の流れ(7ステップ)

人が集める

① 素材を集める(2〜3日)

修正履歴のある過去原稿・判断した人のコメント・本人の記憶・入力の形式・既存ガイドライン

AI+人

② 判断軸を掘り出す(3〜4日)

実例と本人の記憶の2系統で独立に掘り、一致したものだけ「確定」にする

AI

③ カタログにまとめる(1〜2日)

判断軸/型/表層/定型パーツの4ファイルに分ける

AI

④ スキル本体を書く(1〜2日)

初稿スキルとFBスキルの2本。判定→型→生成→禁止事項→停止条件

AI(別々に)

⑤ テストする(数日)

答えを隠して実行し、別のAIが採点。再現率と過剰指摘率を数える

人が配る

⑥ 配る

ZIP+install.sh。使い方は1ページのWebページに

育てる(終わりなし)

⑦ 育てる仕組みを回す

使う人の違和感がフォームに溜まる → 責任者が「OK」だけ書く → 反映 → 再配布

目安:①〜④で1週間、⑤で数日、⑥⑦の立ち上げで1週間。⑦は終わりがありません(ここが本体)。

① 素材を集める

集めるものライティングでは活用事例記事では
修正の履歴がある過去原稿Googleドキュメント約150件(初稿→2稿→最終)過去記事の初稿と公開稿。両方残っているものだけが素材になる
判断した人のコメントドキュメントのコメント1,183件編集者のコメント・赤入れ・Chatworkでの指摘
本人の記憶責任者2人のChatGPT(日常的に使っていたので判断が蓄積していた)編集責任者が普段使っているAIがあれば、そこから出力させる
入力の形式Chatworkの依頼フォーム(18項目)取材の文字起こし+企画意図+対象者プロフィール
既存のガイドラインライターチームのガイドライン記事の執筆ガイド・表記ルール(あれば)
⚠️ ガイドラインは「正解」として扱わないでください。実際の公開稿がガイドラインどおりでないことは普通にあります。実例が優先、ガイドラインは参考です。

② 判断軸を掘り出す

「判断軸」=責任者が原稿を直すときの理由。「絵文字が多い」のような表面ではなく、「この企画の案内なら背景の見出しが要る」のような構成レベルの理由まで掘ります。

過去に一度失敗した方法:コメント30件をAIに読ませて「FBスキルを作って」→ 語尾や絵文字の指摘はできたが、構成レベルの指摘ができず実用化断念。

うまくいった方法:2系統で独立に掘り、一致したものだけを「確定」にする
  1. 実例から掘る:コメントを「どの箇所に・何を・なぜ」で1件ずつ整理する。⚠️コメントの位置情報(アンカー)は当てにならない。必ず本文全文と突き合わせて、実際に何が直ったかを見る
  2. 本人の記憶から掘る:責任者が普段使っているChatGPT等に「あなたが文章を直すときの判断基準を全部出して」というプロンプトを渡し、出力を貼ってもらう
    • 本人の作業は「貼る→『続けて』→結果をドキュメントに貼る」だけ。○×の添削や質問回答は求めない(負荷が上がると回収できない)
    • 深掘りの観点:直す理由/優先順位と衝突したときのルール/例外と境界線/即差し戻しの条件/黙って直すもの/「良い」の定義
  3. 突合してタグを付ける:実例と本人出力が一致=【確定】/実例のみ=【実例】/本人出力のみ=【GPT】。このタグが後でAIの指摘の強さになります(確定・実例=直すべき、GPT=提案どまり)
⚠️ 本人の記憶は、他人の判断を自分のものとして語ることがあります。【確定】にするときは、実際のコメントの発言者まで確認してください。

③ カタログにまとめる

AIが参照するデータを4種類に分けて書きます。分ける理由は、後で違和感が出たときに「どこを直せばいいか」が一発で分かるようにするためです。

ファイル中身活用事例記事では
判断軸責任者ごとに「何を・なぜ直すか」(章立て・タグ付き)編集責任者の判断軸。複数人いるなら人ごとに分ける(混ぜると誰の判断か分からなくなる)
案件の種類×段階ごとの「基本の並び」+崩す条件記事の型(導入→課題→きっかけ→変化→まとめ 等)+「この場合は順番を変える」条件
表層語尾・記号・用字用語の対応表(初稿→最終で実際に直された語だけ)見出しの付け方・引用の記法・敬称・数字表記
定型パーツそのまま置いてよい決まり文句(免責・問い合わせ導線など)プロフィール枠・締めの誘導文・注記(「※内容は取材時点」等)
「型」には必ず「崩す条件」を付けてください。型だけ書くと、AIは型に当てはまらない案件にも型を当ててしまいます。ライティングでは全案件の62%が型どおりにいかない単発ものでした。

④ スキル本体を書く

スキルは2本に分けました。1本にまとめると使い分けができません。

スキル入力出力
初稿スキル依頼文(活用事例記事なら文字起こし+企画意図)初稿+「担当者に確認が必要なこと」
FBスキル原稿(+あれば依頼文)責任者ごとの視点に分けたフィードバック

指示書に入れる要素(順番どおり)

  1. 参照ファイルと読む順番(判断軸→型→表層)
  2. 案件の判定を先にやらせる:媒体・種類・段階・想定読者。ここを飛ばすと依頼文の項目順に並べただけの原稿が出ます
  3. 型の当てはめ度合いの判定:型どおり/型+調整/型なし。型なしでも文章の形で出す(構成案だけ返すと結局人が書くことになる)
  4. チェックの手順を上から順に(誰向けか→何の話か→何をすればいいか→構成→過不足→誇張→事実→トーン→導線)
  5. 禁止事項:カタログにない判断で指摘しない/依頼文にない事実を作らない/利用者の環境でファイルを書き換えない
  6. 止まる条件:「読者が困るか」で判定。より良くできる=直すべき、ではない
  7. 推測した箇所は明示させる(「⚠️推測」を付ける)。ライターが全文を疑わず、直す箇所だけ見れば済むように
⚠️ 「本人より厳しいAI」にしないこと。責任者が言わない指摘まで出すと、使われなくなります。カタログ外の指摘を禁止し、過剰指摘の数を測ってください。

⑤ テストする

やること理由
答えを隠して実行する初稿だけ渡して、最終稿と責任者コメントは見せない。答えを見た状態でのテストは意味がない
生成と採点を別のAIにやらせる自己採点は自己弁護が混ざる
再現率と過剰指摘率を数える「責任者が実際に言った指摘のうち何割を出せたか」「責任者が言わない指摘を何件出したか」
3〜6件で十分ライティングでは73%→65%→76%→80%と推移。85%前後で打ち止めにし、以降は実運用の違和感で育てる
80%4回目のテストで到達した再現率
0〜1件各回の過剰指摘(責任者が言わない指摘)
85%テストで上げられる上限の目安
⚠️ ルールを1つ足すと別の指摘が消えることがあります(「情報を削らない」を足したら、削除の提案が全部消えた)。新しいルールには「ただし〜は除く」の境界線を必ず付けてください。

⑥ 配る

⑦ 育てる仕組みを回す(ここが本体)

配って終わりではなく、使った人の違和感が自動で溜まり、責任者がOKを出したものだけスキルに入る流れを作ります。

使う人:出力の最後に「手直しした箇所は?
    ①表現 ②構成 ③トーン ④過不足 ⑤反映漏れ ⑥その他 ⑦なし」
   → 番号を返す → AIが「修正前/修正後/理由」を聞く
   → AIがGoogleフォームに送信

責任者:スプレッドシートを週1で見て、反映案に「OK」とだけ書く
    (違うときだけ一言)

管理者:OKの分だけカタログに反映 → 更新版ZIPを配る

設計のポイント

3. 必要な情報チェックリスト(活用事例記事版)

着手前に、あるものにチェックを付けてください。「修正履歴」と「判断した人」がないと、判断軸が作れません。

素材

運用

4. 活用事例記事ならではの注意点

ライティング(告知文)との違いから、先に考えておくとよい点です。

論点考え方
入力が長い
(文字起こし)
告知文は依頼フォーム18項目。記事は数千字の文字起こしが入力になる。「何を拾って何を捨てるか」の判断軸が最重要になる(告知文にはなかった軸)
発言を変えてはいけない「依頼文にない事実を作らない」がより厳しくなる。引用は原文、要約は「要約」と明示、推測は「⚠️」。創作禁止をスキルの最上位に置く
本人確認・公開許諾取材対象者からの修正は「事実訂正」であり、判断軸の学習対象ではない。編集者の判断による修正と分けて記録する(ライティングでも「人の工程による差分」と「判断による差分」を分けた)
個人情報・固有名詞会員名・数字・地名は本人の許諾範囲を確認する工程が要る。スキル内で「確認事項」として必ず出させる
型は固定に近いかも告知文は62%が型なし。記事は構成がある程度決まっている可能性が高く、型どおりの割合が高いと作りやすい。まず過去記事10件で構成を並べて確認
既存スキルの確認社内に「case-study-article-draft」(インタビュー記事の初稿)という名前のスキルがあります。重複して作る前に、Libe Toolkitで中身を確認してください

5. 実際に起きた落とし穴(同じ轍を踏まないために)

  1. コメントの位置情報を信じた → 実際の修正箇所とずれていた(30件中26件)。本文全文と突き合わせる
  2. 本人の記憶が他人の判断を自分のものとして語った → 確定にする前に発言者を確認
  3. ルールを足したら別の指摘が消えた → 新ルールには境界線を付ける
  4. AIの指摘が責任者より厳しくなった → 「読者が困るか」の停止条件を入れ、過剰指摘率を測る
  5. 型を機械的に当てた → 固定テンプレのない案件に一般ルールを適用。「崩す条件」「この案件の型が優先」を明記
  6. 反映案を「全案件で〜」と書いた → 責任者に4件連続で却下。範囲を絞る
  7. AIが利用者のファイルを勝手に書き換えた → 「FBは記録するだけ」を最重要ルールに
  8. トークン入りコマンドで配布した → Claude Codeが拒否。ZIPに切り替え
  9. 出力に内部の記号(章番号・タグ)を出した → 受け取り手には意味不明。理由は日本語で書く
  10. 責任者の確認を「全項目に○×」で頼んだ → 負荷が高い。「違うものだけ一言、空欄は○」に変更

6. 最初の1週間でやること(ミニマム版)

全部作らなくても動きます。この順で。

やることできるもの
1日目「1. 3つの問い」を書く/素材チェックリストを埋める/既存スキルの有無を確認着手判断
2〜3日目過去記事10件の初稿→公開稿を並べ、直された箇所を「どこ・何・なぜ」で一覧にする判断軸の素材
3日目編集責任者に「判断基準を出すプロンプト」を渡す(貼るだけ・10分)本人の記憶
4日目2つを突合してタグ付け。判断軸・型・表層の3ファイルに分けるカタログ v0.1
5日目初稿スキルの指示書を書く(判定→型→生成→推測の明示→確認事項)スキル v0.1
6日目過去記事1件で試す。文字起こしだけ渡して公開稿と比べる実用判定
7日目Googleフォーム+スプシを作り、出力末尾の質問を入れる育てる仕組みの土台

FBスキルは初稿スキルが動いてからで大丈夫です(カタログは共用できます)。日数はAIを使い慣れた人が1人で進める前提です。

7. 困ったら

参考:ライティングAIスキルの全体像